前回はドメイン管理についてお話しましたが、今回もその続きでドメインの話をします。
ホームページ制作の営業をしていると、初めてホームページを作るお客さんから契約段階で、「どこのドメイン会社がいいか？」や「どこのレンタルサーバー会社がいいか？」と聞かれることがあります。
ドメインやレンタルサーバーの料金は、若干の値段の差はありますが、だいたいどこも横並び。ドメインは.comで年間1000円ちょっと。レンタルサーバーは月額500円から1000円程度でしょうか。例えば、大規模サイトの立ち上げや従業員数50名以上のメールアドレスの管理も必要となる場合は、様々な観点から検討する必要がありますが、小規模の会社サイトを立ち上げるだけが目的の場合は、正直どこでもいいといえる大差はありません。
しかし、私はドメインやレンタルサーバーの契約に関して、ここの会社だけはお勧めしないという立場を取っています。その会社は「GMOのお名前.com」です。実はこのお名前.comという会社は、レジストラ（ドメインを登録する事業者）の中でも最も老舗で、最も知名度が高い会社の一つです。上場もしている会社で、グループ企業の中には銀行や証券会社も存在します。また、やたらと買収を繰り返し、傘下にはサーバー会社や広告代理店など、数十社もの企業があります。純日本IT企業としては、ソフトバンク、KDDI, 楽天, サイバーエージェントなどが有名ですが、位置的にはその次くらいに位置するのではないでしょうか。
なぜお勧めしないのかと言うと、サーバーやドメインを契約するサイトが非常に巧妙に作られており、まったくの初心者が操作すると、余計な契約をするような仕組みになっているからです。言葉は悪いですが、ワンクリック詐欺のように、情報弱者の知識不足を利用して契約を促進する仕組みがあるのです。
以前、私はお客さんから「どこのドメイン会社がいいか」と聞かれると、「お名前.comが有名だから、お名前.comがいいですよ」と答えていました。しかし、ドメインの契約は通常1000円くらいなのに、なぜか4000円くらいの請求が来たという事例もあります。その原因は、ポップアップが出現し、不要なドメインやセキュリティ対策などの余計なオプションを契約してしまうような設定になっていたからです。
また、他のお客さんは別の会社でレンタルサーバーを契約していたにもかかわらず、ある時突如として案内メールが届き、知らず知らずのうちに不要なレンタルサーバーを契約してしまったというケースもあります。とにかく手口が巧妙で、正直に言って度を越えていると感じます。特に初心者は、知らないうちに無駄な買い物をしてしまう危険があります。
余談ですが、このGMOという会社には自分にとって少なからず因縁がある
この話はWebとは関係ない話ですが、このGMOグループという会社は、自分にとって過去に因縁のある会社です。ある意味、このGMOのおかげで自分はWeb業界に転職することになりました。
30歳の初めのころ、自分はある広告代理店で勤めていました。その会社はバリバリの営業会社で、自分も営業を担当していました。会社の雰囲気は決して悪くなく、仲間もたくさんいて、仕事が大変だったとはいえ、それなりに楽しく過ごせていました。しかし突如として、GMOグループに会社が売却され、社名が変わり、勤務地が渋谷に移されました。さらに職場環境も一変し、GMOから幹部が派遣されると職場の雰囲気はガラリと変わりました。
自分は仕事が大変だったものの、周囲の人間関係に問題はなかったのですが、会社がGMOグループに変わった途端、会社に行くのが苦痛となりました。そして同僚たちも次々と退職し始めました。自分も1年ほどは頑張ってみましたが、体と心が持たなくなり、転職を決意しました。
後に聞いた話では、買収後7年でその会社は事業の将来性がないと判断され、他のグループ会社に吸収されたそうです。買収前には120人ほどの社員がいたのですが、最終的に残ったのはわずか2、3人だったと聞きました。
これは自分の偏見と主観かもしれませんが、このグループ会社はどうも節操がないように感じます。約15〜16年前に、IT系の会社で利益が上がると、どんどん買収していたと記憶しています。営業は非常に泥臭く、SEO対策などのサービスを提供していたり、利益を上げられるものなら何でもやる姿勢が見えました。もちろん営業は結果が求められる世界ですが、この会社のグループはサービスがコロコロ変わり、利益を上げることだけを目指しているように感じ、ビジョンやポリシーを感じられませんでした。
グループ代表の方のスピーチも何度か聞いたことがあります。その方は確かにカリスマ的で、言葉は立派で魅力的だったのですが、自分にはどこか嘘っぽく、薄っぺらい印象を受けました。
話が脱線しましたが、やはりこの会社のドメインやサーバ契約サイトにも、このグループ会社の営業至上主義が垣間見えるように思います。
