某大手営業代行会社にホームページ制作営業を依頼した末路

電話 営業編

営業代行サービスに頼った理由

昨今、「営業代行」というサービスが盛んになっています。
テレアポやメールフォーム営業を通じて、BtoBリードを獲得することを主な目的としたサービスです。

我が社は小規模なホームページ制作会社で、社長と社員3名で運営しています。
しかし、我が社の弱点は「営業」がいないことです。
通常、社長自らが営業を行い契約を取るのですが、正直なところ、社長は営業が得意ではありません。

そんな中、ある日「営業代行会社に頼ればもっと効率的に契約が取れるのではないか」と考え、某大手営業代行会社にホームページ制作の営業を依頼することにしました。

ホームページ制作業界の厳しい現実

「ホームページ制作会社なら、SEOやリスティング広告で簡単に集客できるのでは?」
こう考える方も多いかもしれません。しかし、現実はそう甘くありません。

実際、SEOやリスティング広告による集客は非常に競争が激しいのです。
特にホームページ制作業界は、SEOが最も難しい業界の一つと言われています。

なぜなら、競合となる他の制作会社が皆、SEOやリスティング広告の手の内を熟知しており、業界内に「隙間」がほぼ存在しないからです。

たとえば、一般的な業界では競合が手薄なキーワードを狙えば、少なくとも多少の問い合わせが見込めます。
しかし、ホームページ制作業界では、そうした「手薄なキーワード」さえも他社が集中して攻めているため、容易に上位表示を取ることができないのです。

営業代行を試した理由

当社の社長は、会社の将来を見据えて従来のSEO対策やリスティング広告による集客から営業手法を変更し、営業代行会社の電話代行(テレアポ)を試してみることにしました。
正直、自分はこの選択に不安を感じており、「失敗するのではないか」と思っていました。そのため、やんわりと「やめた方がいいのでは」と助言しましたが、社長の決意は固く、耳を貸しませんでした。

どうやら社長は営業代行会社の営業トークを信じ込み、最終的に4桁万円(数百万円)を投入して契約したようです。

実際に営業代行を試してみた結果

営業代行会社と話し合った結果、当社では「月額6万円のホームページ更新サービス」を売ることを目標に設定しました。
社長は「50社くらいは契約できるだろう」と楽観的に考えていたようです。

営業代行の方法はテレアポを中心に行い、興味を持った相手に資料を送付するという流れでした。

月1~2件程度の挨拶アポがやっと

実際には、営業代行によるテレアポは月数千件から数万件程度行われましたが、結果は非常に厳しいものでした。
月に1~2件程度の「挨拶アポ」が取れるだけで、契約には繋がらないことがほとんどでした。

また、資料送付も10件程度行われましたが、その多くは「とりあえず資料を送っておいて」という断り文句に応じたものに過ぎませんでした。
実際に訪問してみても、商談の成立が期待できる「有望な見込み客」とは言えないケースがほとんどでした。

予想通りの結果

結局、私が当初懸念していた通りの結果に終わりました。

この営業代行サービスにはいくつかの問題点がありました。その一つが、「一度電話をかけたら終わり」で、継続的なフォローが行われない点です。
テレアポの本来の価値は、追客(追いかけて接触を繰り返すこと)にあります。追客を繰り返すことで、質の高いアポが取れるのですが、このサービスでは資料を送付するだけで、それ以降のフォローアップは「自分たちでやってください」というスタンスでした。

中途半端な対応のため、契約まで結びつくことはほとんどありませんでした。

唯一の成果:1件だけの10万円契約

営業代行の結果として、唯一1件だけ10万円の契約を獲得することができました。
しかし、この契約も「スポット的なもの」であり、継続的な契約ではありませんでした。

ホームページ更新サービスは本来、毎月の収益が見込める「サブスクリプション型」のサービスとして提供していますが、今回の契約は一度限りの依頼に留まりました。 つまり、営業代行に投じた費用を回収するには程遠い成果だったと言えます。

なぜ成果が伸びなかったのか?

1件の契約が取れたこと自体は成果として評価できますが、それ以上に大きな課題が浮き彫りになりました。

1.追客不足

テレアポの基本は、複数回の接触を通じて信頼関係を築くことです。しかし、営業代行会社は1回の電話で終了し、資料送付後のフォローを行いませんでした。

2. ターゲティングの甘さ

リストに含まれる企業が当社サービスに本当に興味を持つかどうかの精査が不十分でした。

3. 短期的な成果に偏った戦略

営業代行会社の方法は「とりあえずアポを取る」ことに重点を置いており、長期的な顧客育成という観点が欠けていました。そのため、スポット的な契約に終わってしまったのです。

教訓-短期的な契約では会社の成長は見込めない

今回の10万円のスポット契約は、営業代行による努力の成果であることは間違いありません。
しかし、長期的な視点で見ると、単発の収益は会社の成長にはつながりません。

営業代行を利用する際には、短期的な成果だけではなく、継続的な契約や顧客との長期的な関係構築が見込める仕組みを取り入れる必要があります。
今回の経験を通じて、我々は営業戦略の再構築が必要であると痛感しました。

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